HIGH ALTITUDE
MAGAZINE

ハイアルチアカデミー<1>
低酸素トレーニングと
高地トレーニングは違うの?

「ハイアルチアカデミー」とは、ハイアルチスタジオを運営するスタッフメンバーが一堂に会して行う勉強会です。「勉強になった!」とのお声をいただくことが多いため、ぜひ会員の皆様にもシェアしたいと思い、アカデミーの内容を抜粋して再編集したものをお届けいたします。今回、講師をして下さった小山勝弘氏は、運動生理・生化学を中心に研究されている博士(医学)です。先生は現在、山梨学院大学スポーツ科学部の教授としてご活躍中で、ハイアルチのアカデミック・パートナーとして、研究・協力いただいています。

高地トレーニングが注目されたきっかけは、
1960年開催のローマ・オリンピック

「高地トレーニング」や「低酸素トレーニング」は、これまでトップアスリートの競技力向上のために注目されてきましたが、「ハイアルチ」をはじめとして、一般の人々にも人気が出るようになったのはここ最近のことです。

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なぜ、「高地トレーニング」がトップアスリートに注目されたのでしょうか? 始まりは、長距離選手として有名なアベベ・ビキラ選手です。彼が世界で注目を集めたのは、1960年のローマ・オリンピック。信じられないぐらいのスピードで、当時のマラソン記録を塗り替えました。また、1964年の東京オリンピックでも彼は活躍しました。しかし、その活躍はアベベ・ビキラ選手にとどまりません。なぜ、彼らのように優れた長距離選手が、エチオピアのような高いところから数多く生まれるのか。検証を進めていく中で、「高い所・高地に住んでいる」ということに意味があるのではないだろうか、という仮説から、平地よりも高い所でトレーニングするという「高地トレーニング」が広まっていったと言われています。

高地と平地の酸素濃度は変わらない?!空気が薄い理由は「気圧」に。

高地=「酸素濃度が低い」というイメージを持っている方も多いかと思います。しかし、決して高地に行っても大気中の酸素濃度は低くなっていません。実は、高地は「酸素濃度が低い」のではなく、「気圧が低い」=「空気が薄い」ため、結果的に体内に取り込める酸素の量が少ない状態が作られているのです。簡単にご説明すると、私たちが大気を吸って肺を介して酸素を体内に取り込む際、大気の「気圧」と大気中の「酸素濃度」の積(酸素分圧)がその大小を決定します。

高地ではその上部にある空気の量が(平地、海面と比べて)少ないため、下向きに押す力、すなわち気圧が低くなり、大気中の酸素濃度が変わらなくても、体内に取り込める酸素の量が少なくなっているのです。つまり、高地も平地も酸素濃度は変わりません。一方ハイアルチでは、気圧を変えずに酸素の濃度を調節する(低下させる)ことで、あたかも富士山の上に、高地にいるような「低酸素環境」を作り出しています。つまり、ハイアルチは、「気圧を変えずに、酸素の濃度だけを人工的に減らす」空間を作っているのです。気圧の変化は私たちの体調に大きな影響を及ぼしやすいと考えられていますが、ハイアルチでは気圧を変えずに、酸素濃度だけを変えることによって、誰にでも「低酸素トレーニング」を提供することができるようになりました。

ハイアルチアカデミーに参加したメンバーも、目から鱗の学びでした!お客様によりよい高地空間を提供すべく、アカデミック・パートナーとともに研究を続けて参ります。