HIGH ALTITUDE
MAGAZINE

ミトコンドリアと
アンチエイジング(後編)

学習院大学 生命学科 柳茂教授

前回からの続きで、日本ミトコンドリア学会の副理事長であり、学習院大学生命学科の柳茂教授に「ミトコンドリアとアンチエイジング」についてお話を伺いました。

柳先生のお話では、ミトコンドリアの質を高めるためには、ミトコンドリアへ「適度な刺激」を与えることが一番の近道とのことです。柳先生によると、日常生活でできる適度な刺激のひとつとして、低酸素環境下での運動によって発生する「酸素の飢餓状態」はとても有効とのこと。

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実際、地下30mの低酸素環境下で生活する「ハダカデバネズミ」というネズミは、平均寿命が30年と一般的なネズミよりも長く、ミトコンドリアの研究では注目されています。その他の刺激としては、ファスティングによる「栄養の飢餓状態」も細胞への刺激になると柳先生はおっしゃっています。そして、刺激は「適度」であることも重要なポイント。「ホルミシス療法」のように、適度な場合には有効であるが過剰供給となった場合は、細胞負荷が大きく、望ましい効果が得られないこともあります。
柳先生によるとミトコンドリアはすべての細胞に含まれているが故に、様々な病気や疾患への応用も期待され、研究が進められているとのこと。

柳先生たちもこれまで培われてきたデータをもとに、医薬品開発などを行う学習院大学発のベンチャーを立ち上げ、メタボ予防や認知症予防などにも取り組んでいかれます。

無限の可能性を秘めているミトコンドリア。ハイアルチでもさらに注目して研究を進めていきます!

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